慶應付属3中学合格への方法論(下準備編)

【Road to Keio#3-1】慶應付属3中学合格のための、過去問の「最初」の使い方。

【Road to Keio#3-1】慶應付属3中学合格のための、過去問の「最初」の使い方。

たくと
たくと
みなさんこんにちは!

このブログは、慶應付属中専門の塾講師・家庭教師をしているたくと( @tact_roadtokeio ) がお送りしております。

さて、今日は過去問の使い方についてです。

と言っても、過去問の一般的な使い方ではなく、慶應付属3中学を志望する人が「まずはじめてどうやって使うべきかにフォーカスを当てて書いています。

なので、慶應付属3中学志望の方にはできるだけ早い段階で知っておいてもらいたい情報になっています。該当する方はぜひ目を通してみてくださいね。

が、今回の内容は過去の記事が少しだけ前提になっているので、はじめにまずはそれをさらっとおさらいしておきましょう。(その記事はこちら↓)

要点だけまとめておくと、

  1. 「成績が上がったら慶應を目指す」という段階的スタンスは合格を著しく遠ざけてしまうこと。
  2. なぜなら、上位校と中堅・下位校で「学び方」に相反するほどの違いがあるから。
  3. だから、段階的にではなく「はじめから慶應を明確に目指すこと」が大事

というお話と、この3つ目の「はじめから明確に慶應を目指す」ためにまず取るべき具体的な行動として、

  1. 入学志願書」を何よりもまず初めに書く。
  2. 面接」の返答もはじめに用意する。
  3. 過去問」を利用することでやるべきことを明確にする。

の3つを何よりも優先してすべき、ということです。

そして前回まで9回に渡って、「①入学志願書」と「②面接」について見てきました。

(おさらいおしまい。)

たくと
たくと
というわけで!

今回は慶應付属3中学合格のための「③過去問」の活用法について見てみましょう!

多くの受験生は、過去問の有効活用をすることなく受験を終えてしまう。

さて、中学受験をするほぼ全ての受験生が必ず手を付けるもの、それが「過去問でしょう。

ですが、長年指導をしてきて思うのは、この過去問を有効活用できている生徒さん・ご家庭が実に少ないということです。具体的に言うと、「なんとなく」使ってしまっているケースが非常に多いんです。

たとえばこんな感じに。

小6の夏休みあたりになると、塾のカリキュラムが一通り終わります。そのタイミングあたりで、「よし、じゃあそろそろ過去問でも解いてみよう!」と盛り上がって過去問を購入してきて、時間をはかって解いてみて、採点して、その結果で一喜一憂する。

そしてまた別の年度の過去問を解いてみて、一喜一憂する。

合格最低点に届いていた時はへこみ、合格点までもう少しの時は「もう少し頑張ればいける!」と言い、合格最低点に届いた時は「いける!」となって、だけど次の年度をやってみたら大幅に届いていなくて大きくへこみ、復活するまでに1週間くらいかかったりする。直前期には、「もう受験なんてやめる!」なんて言い出す子ことも多々います。

そんなふうに、無計画かつ受動的に過去問を解く方が多いんです

この使い方は、「一喜一憂するためだけに過去問を使っている」ような状態です。「学力を上げる」、「試験慣れする」、「自分の実力と中学側の求める水準のギャップを把握する」といった目標を設けずに、「手あたり次第解いている」ような状態なわけです。

非常に良くない。時間を浪費してしまうし、精神的にも疲弊しやすい。

とはいえ、そんな使い方をしてしまうのは、受験生本人にはもちろん原因はなくて、親御さんにも原因はない。じゃあなぜかというと、多くの塾・先生がそんな方法しか知らないからなんです。

多くの塾・先生はその「年度ごとに解く。そして解答をチェックする。」という作業をひたすら繰り返すことが多いんです。「受験までに3回やりましょう!」なんて言って、同じ問題を繰り返し解くによって合格最低点を超える状態にします。

でもそれって、意味がないですよね?「経験した問題が解ける」という状態を作っているだけで、「初見の問題を自分の頭で考えて解ける」という状態には一切近づいていないのだから

だから、過去問の使い方を大幅に見直す必要があるわけです。

というわけで、過去問をいかに有効活用すべきかを見ていきましょう。ここでは、タイミング」、「使い方」の2つにフォーカスして過去問の使い方を見ていきましょう

過去問の有効活用を妨げる「過去問は小6の9月から」というアドバイス。

ではまずは、過去問を使う「タイミング」について

過去問に着手するタイミングは塾や先生によって多少の差はありますが、多くの塾・先生は「小6の9月以降」に手を付けることを勧めてきます。塾によっては、「小6の夏休みが終わるまで、絶対に過去問はやらないこと!」なんて言ったりもします。

でもこれ、非常に遅い。遅すぎる。

当たり前の話ですが、過去問というのは「志望する学校がどういう問題を出しているのか」が分かるわけです。言い換えれば、「どういう問題を解ける子を中学側が求めているのか?」というメッセージを過去問から汲み取ることができるわけです。

そのメッセージは、受験生にとってはある種の「ゴール」になるものです。つまり、過去問というのは、受験生にとってはゴールイメージと同義なわけです

でも、そのゴールイメージを小6の9月に初めて持ったとしても、残りは5か月しかありません。小4から受験に向けての勉強を始めた場合で言えば、2年5か月はゴールイメージを持つことなく塾や家庭教師の先生に言われた通り勉強するわけです。これは小学生の子どもにとっては、何キロあるか分からないマラソンをただ何となく走っている感覚に近いんです。目的不在の学習をする子を、中学側が求めていると思いますか?

そして小6の9月に初めてゴールイメージを持ったとしても、残り5か月で変えられることは多くはありません。「え、こんな問題出るの?」、直前期にそういったことを言い出す受験生・親御さんが非常に多いんです。

小4や小5(早い人はもっと前)から塾の言うことを信じて必死で頑張ってきたのに、残り5か月で状況が一転して、不足している学力を急激に上げなければならない状況になるんです。急に後手後手の状況に陥るんです。

そしてそれだけでなく、小6の9月までの過程で「学び方」や「学ぶ姿勢」が悪い方向に固定化されてしまっているケースが実は非常に多いんです。だから、学力の不足を補うだけでなく、学び方や学ぶ姿勢の修正という作業も必要になってきてしまいます。

残りの5か月でそれらの作業をやりきれる子は、非常に少ない。だから、どんどん志望校を落とす必要も出てくるわけです。

こういった状況を回避するには、「小6の9月まで過去問には手を付けない」という方針を捨てるべきです。

つまり、過去問に着手するタイミングを大幅に変える、ということが必要不可欠なわけです。

ではどのタイミングで過去問に着手すべきか?これには3つあります。

  1. 受験に向けての勉強を始めた段階
    (志望校を決めた段階でも可)
  2. 一通り学習内容を網羅した段階
  3. 一通り過去問を終わらせた段階

この3つのタイミングで過去問に着手するのが有効です。

といっても、まだよく分からないですよね。(特に③とか。)

それぞれのタイミングでの「使い方」はまったく異なっていて、それをセットで考えると意味が分かると思うので、次の章で見ていきます。

過去問にはタイミング別に「3種類の使い方」がある。

① 受験に向けての勉強を始めた段階での過去問の使い方。

まず最初に過去問を使うべきタイミングは、「受験に向けての勉強を始めた段階」です。例えば小4や小5になって塾に通いだしたタイミングですね。

こういうと、「いや、まだ過去問なんて解けるわけないじゃないですか。」なんて思う方も多いかと思いますし、実際にそうでしょう。でも誰も、過去問を「解け」とは言っていません。過去問を「利用・活用」してほしいんです。

どういうことか?具体的に見ていきましょう。

まず、慶應中等部・慶應普通部・慶應湘南藤沢中等部の2年分の過去問をコピーします。2年分×3校なので、6年分の分量になります。

次に、コピーしたものを切り抜き、分野別に並べます。

そしてそれを、ノートやルーズリーフ、プロジェクトペーパーなどに貼り付けます。

ここまでで、各教科、分野ごとのノート・ペーパーができあがります。(「過去問ペーパー」。)

この後の使い方がポイントです。解いたりはせず、塾(や家庭教師)の授業前に問題に目を通す、という作業をしてほしいんです。

塾(や家庭教師)で次に扱う内容を、塾のカリキュラムなどを見て確認します。たとえば、次の授業で算数はつるかめ算をやるんだな、理科は水溶液をやるんだな、ということを確認します。

そしたら、授業の前にその分野の過去問ペーパーの問題をしっかりと読み込んでほしいんです。

「ほー、慶應中等部ではこういうつるかめ算の問題が出るのか、普通部はこうか、湘南藤沢はこうなのか。」

こうやって、次の授業内容のゴールイメージを授業前に把握するという作業をして、そのうえで授業に臨むという習慣を作る。これが1つ目の過去問の使い方です

この使い方によって、塾の授業への姿勢を能動的なものに変わり、塾の時間をより濃いものに変えていきます。さらにその結果、塾のカリキュラムがひと段落するころには、慶應付属3中学の問題内容・傾向を分野ごとにある程度把握できている状態になっています。

実はこの使い方が、お子さんにとってもっとも効果的です。小6の9月の段階で初めて過去問を取り組む子と、絶対的な大きな差を生みます

なので、この1つ目の過去問の使い方は、慶應付属3中学を目指すのであれば絶対に取り組んでほしい過去問の活用法です。

② 一通り学習内容を網羅した段階での過去問の使い方。

過去問の使い方①が終わったタイミングで、次の使い方へと移行します。

これは、多くの受験生と同様に「年度ごとに解く」という使い方です。

ただ、強くオススメするのは「受験生本人は一切解答を見ない」ということです

問題を解いたら採点して、間違っている問題は解答を見て理解する。そのあと、少し時間が経ったら間違えた問題を解いてみる。こういったやり方をする受験生が大半です。

でも、これは「初見の問題」を解答を見ることで「解いたことのある問題」に変え、それが解けるようになるという作業なんです。つまり、初見の問題が出る本番の試験への対策には全くなっていないわけです

なので、「初見の問題を自分で考えて解ける」という状態にするために過去問の使い方を変える必要があります。具体的には、以下のような使い方をオススメします。

  1. まず、時間をはかって過去問を解いてみる。
  2. 採点は先生か親御さんにしてもらう。(受験生本人は解答・解説に一切触れない。)
  3. 解けなかった問題・解けたけどあまり理解できていない問題は、切り抜きをして、「間違え問題ノート」に貼る。
  4. そしてそれを毎日見て、考える。「あ、こう考えたらいけるかも?」とひらめくまで考える。

④を本気でずっとやってみて、それでも解けずに2週間ほど経つのなら、その問題はその時点で実力的に厳しい問題です。その場合は、先生に「その問題を解くために必要な知識」「その問題を解くために必要な思考法」を使う問題を教えてもらい、それを解きます。そのうえで、もう一度チャレンジする。決して、過去問自体の解答を先生に聞いて解決しない。このスタンスが「初見の問題を解けるようにする」ために必要なステップなんです。

この使い方が2つめの過去問の使い方です。この使い方によって、実際の入試問題を解く感覚や時間配分を学ぶだけじゃなく、「初見の問題を解けるようにする」という作業をするわけです

③ ②が終わった段階での過去問の使い方。

②の使い方で終わる受験生も多いと思いますし、そこまででも本番への対応は可能です。

ただ、大学受験と違って浪人のない1発勝負の慶應付属3中学の試験だから、万全を期したいものです。

過去問の使い方③は、そのために必要な活用法です。

具体的には、「思考法別に問題を解く」という使い方です。

たとえば、「逆算思考」で解ける問題をまとめてやったり、「多角的視点の切り替え」で解ける問題をまとめてやる、といった使い方です。

使い方①や②は「分野別」に問題を解くことが前提になっています。そうではなく、「思考法別」に問題を解くというプロセスを踏んでおくと、初見の問題に対するアプローチ方法のバリエーションが増えます。なので、先手型で学習ができている受験生にとっては、万全を期すためにこの使い方はかなり有効です。

ただ、この方法に対応できる塾・先生はかなり限られていて、その先生に出会える確率はかなり低いので、より具体的な説明は一旦割愛させて頂きます。もしご興味ある方は、ぜひメッセージやコメントでご連絡ください。

というわけで、まずは使い方①で過去問を活用してみてください!

というわけで、受験を目指し始めた段階、もしくは慶應付属3中学を志望することを決めた受験生やご家庭は、使い方①をまずやってみることを強くオススメします

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慶應義塾湘南藤沢中等部2022年度用過去問

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というわけで、今回はこのあたりで。

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ではでは、ご覧くださってありがとうございました。

また次回、お会いしましょう。