慶應付属3中学合格への方法論(下準備編)

【Road to Keio #1-1】「成績が上がったら慶應を目指す」というスタンスは合格を果てしなく遠くに位置付けることになる。(上位校と中堅・下位校の間にある大きな壁)

photo_Road to Keio #1-1】「成績が上がったら慶應を目指す」というスタンスは合格を果てしなく遠くに位置付けることになる。(上位校と中堅・下位校の間にある大きな壁)

こんにちは、慶應付属中専門の塾講師・家庭教師のたくと( @tact_roadtokeio )です。

はてさて、このブログではこれまで、

の2つのカテゴリーで主に記事を書いてきました。ただ、この2つは慶應付属3中学合格のための「前提条件」のようなものです。

その「前提条件」を理解したうえで、ではどうやって具体的に歩んでいけばいいのか?その具体論を今回から書いていこうと思います。記事カテゴリーの名前は、

にしているので、まとめて読みたい場合はそのカテゴリーで見てみて下さいね。

というわけで第1回目、さっそく行ってみましょう!

合格を著しく遠ざけてしまう「成績が上がったら慶應を目指す」という段階的スタンス。

さて、長年塾講師・家庭教師として指導してきて、慶應志望の親御さんとお話しする機会も多いのですが、その会話のなかでよく耳にするのが、

「うちの子、全然できないんですよね。」

「だから塾でもなかなか上のクラスに行けなくって。」

「なので、まずは塾の授業にしっかりついていって、成績が上がってきたら慶應をちゃんと目指すという方針でやってました。」

このブログを読んでくださっている塾講師や家庭教師の先生方も、こういった内容のお話を聞いた経験が多々あるかと思います。

でも実は、この言葉の中に慶應への道を妨げる大きな問題が潜んでいます

「成績が上がったら、慶應をちゃんと目指す」という段階的に登っていくイメージ。なんら問題なさそうですが、このイメージを持ち、それに沿ってお子さんを学ばせることは、受験に取り組み始める前の時点で慶應合格を大きく遠ざけることになります

言うならば、慶應を目指す前段階でいきなりゴールの位置を自分自身で奥の方に追いやってしまっている感じです。平地を10km走るレースを、自分で勝手に30kmの障害物走に変えてしまっている感じです。

そしてこのイメージ、お子さんのことを思っていろいろ考えている親御さんであればあるほど陥りやすいというジレンマもはらんでいます。お子さんが受験で不必要な苦労や負担を背負わないように、早い段階で塾に通わせるご家庭ほど陥りやすい。特に小3・4のお子さんをお持ちの親御さんが持ちがちです。

さらに厄介なのが、塾業界も家庭教師業界もこの「段階的に登っていく」というスタンスを持っています。だから、このスタンスでカリキュラムや組分け(クラス分け)を行ってしまっています。必然的に、お子さんもそのスタンスへと染まっていきます。(塾的な視点でいえば、以前このブログでも書いたように、このスタンスを取ることでマネタイズの最大化を図れるので、積極的にこのスタンスを選択するわけです。)

親御さんも塾・家庭教師業界もお子さんも、全員で同じような「段階的に登っていく」というスタンスを持ってしまう。このことが慶應をはじめとする上位校を目指すことを大きく難しくする要因になります

ではなぜ、「段階的に登っていく」というスタンスは、合格を大きく遠ざけてしまうのでしょうか?

なぜなら上位校・中堅校・下位校で「学び方」は全く異なるから。

それは、志望する学校によって、選択すべき「学び方」が大幅に違うからです。「学ぶ内容」ではなく、「学び方」が決定的に違うんです。

どういうことか。これは学校ごとの出題傾向を見ることで大観が掴めます。(学校をランク分けするのはあまり好きではありませんが、便宜的に「下位校」「中堅校」「上位校」と分けています。)

【下位校】
・オーソドックスな問題のみの構成。

【中堅校】
・大半がオーソドックスな問題。
・ほんの一部、「頭を使わないと解けない問題」もあるが、合否にさほど影響がない。

【上位校】
・オーソドックスな問題も多いがこれは解けて当たり前。合否に影響なし。
・「自分の頭を使わないと解けない問題」が多く出題され、それが合否に大きな影響を与える。
・「知的好奇心」をもって日常を生活していると得られる知見を問う問題も多く出題される。これも合否に大きな影響を与える。

つまり、下位校中堅校まではオーソドックな問題が解けるようになれば合格できるということです。そして多くの塾では、オーソドックスな問題を習得するために「反復演習」を繰り返します。反復演習を繰り返すということは、「思考力を使うこと」よりも「解法を覚えること」に比重をおいた作業をするということです。この作業をしっかりとできれば、下位校・中堅校の合格へとどんどん近づけるわけです。

しかし、上位校の場合、その「オーソドックスな問題の反復演習」の延長線上に合格はありません。やるべきことがむしろ真逆なんです。

上位校が求めているのは、初見の問題を「自分の頭で考え、組み立て、答える」という力です。この力は反復演習では付かない。というよりむしろ、反復演習中心の学習だと逆にどんどんと失われていくんです。

そしてさらに酷なのは、上位校の試験問題の中には、反復演習で身につく「解法を覚えて対処する」という頭を持っている人をあぶりだすような問題がいくつか含まれているということです。配点を公表していない上位校を受けるのであれば、できるだけそういった致命傷問題での失点は防ぎたいところです。

こんなふうに、上位校と中堅・下位校の間には「学び方」に大きな違いがあります。しかも単なる「違い」ではなく、水と油のような関係性の、「相反する違い」です。

だから、「成績が伸びたら慶應を目指す」というスタンスを選択するということは、やり方をかなり工夫しない限り、最初は中堅校・下位校のための学び方(「頭をあまり使わず解法を覚える」という反復演習)を取り、それをクリアしたら上位校向けの学び方(「頭を使う」という学び方)に切り替えるという歩み方を選択するということです。混ざり合わない学び方の切り替え、とも言えるでしょう。実に効率がわるい。というより、そもそもそんなことができるのか?となります。

そしてこのように途中で学び方を真逆に切り替えるというやり方は、小学生の子どもにはかなり厳しいものがあります。小4くらいから基本~標準のオーソドックス問題を反復演習して、「ばっちしできてるね!」なんてほめられ、そんなふうに頭をそれほど使わない学習に数年かけて慣れ、それなのに小6の途中からいきなり「ちゃんと頭を使って解こう!」なんて言われる。切り替えだけじゃなく、気持ち的にも、「なんやねんそれ」ってなるわけです。

小学校3年や4年から塾に通っている子が、なぜか小6になっても成績が一定のところまでしか伸びないのは、こういったことが主因になっています。

そしてその後個別指導塾や家庭教師に頼ったとしても、「頭を使わない学習」に慣れてしまった脳をニュートラル状態に治すというのにかなりの時間を使うので、効果が薄くなってしまうわけです。

なので、「成績が上がったら慶應を目指す」というスタンスを早い段階で選択することは、もうその時点で合格をはるか遠くに置くということになるんです。30km障害物競走のスタートを意味するわけです

なので、何よりまず初めにやるべきことは「明確に慶應を目指すこと」と「そのための勉強法をできるだけ早く選択すること」の2つ。

というわけで、どんな学年の生徒さんに対しても言いたいのは、

「慶應に行きたいのなら、しょっぱなからちゃんと慶應を目指す。」

「そしてそのために、頭を使った勉強法』をすぐに始める。」

ということです。この2つを大前提にしてほしいんです。(これは慶應に限らず、上位校を志望する生徒さんに共通する大前提です。)

(でも、「基本が大事だから」と思う方も多いでしょう。でも、「基本を大切にする」と「反復演習」は全くイコールではありません。基本を大事にせず飲み込む反復演習が多いから、それをやめるべき、ということです。学び方に関しては、ダウングレードは容易だけど、アップグレードは相当大変ということです。)

また、もし中堅校・下位校を志望する場合でも、このスタンスを推奨しています。なぜなら、上位校スタンスから中堅下位校スタンスへの変更はいくらでもできますが、その逆は先述の通り相当難しいからです。

「しょっぱなからちゃんと慶應を目指す」、そのために有効なのが「入学志願書」「面接」「過去問」の初期活用。

というわけで、「しょっぱなからちゃんと慶應を目指す」、そしてそのために「『頭を使った勉強法』をすぐに始める。」の2つ着手することが、慶應付属3中学を目指す道程の第一歩目となります。

では、具体的には何をするのか?

1つ目の「しょっぱなからちゃんと慶應を目指す」ためには、むやみやたらに勉強に着手する前に、入学志願書」「面接」「過去問」の3つを何よりもまず先に有効利用するのが効果的です。(次回から3回に渡って書いていく予定です。)

2つ目の「『頭を使った勉強法』をはじめる」ためには、、、これは端的には説明が難しいので、このブログでは授業形式や過去問解説の形式を取って、伝えていこうと思っています。

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と、ちょっと長くなったので、今回はこのあたりにします。

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ではでは、ご覧くださってありがとうございました。

また次回、お会いしましょう。