慶應合格者からの質問集

慶應付属中合格者からの質問集#4 「ベン図の『ベン』ってなんですか?」

photo_慶應付属中合格者からの質問集#4 「ベン図の『ベン』ってなんですか?」

たくと
たくと
はじめまして、そうでない方は改めまして。

このブログは、慶應付属中専門の塾講師・家庭教師のたくと( @tact_roadtokeio ) がお送りしております。

さて、今回は「慶應付属中合格者からの質問集」の第4回をお送りします。
(第1~3回の記事はこちら↓。)

今回も、慶應付属3中学に合格した生徒さんが受験生時代にしてくれた質問や疑問を通して、慶應付属3中学が求めている「知性」というものについて少し考えてみましょう

慶應付属中合格者からの質問#4 「『便利な図』の略じゃないなら、ベン図の『ベン』ってどういう意味なんですか?」

第4回目の今回は、第3回と同じく昨年慶應中等部に合格した生徒さんが小5のときにくれた質問です。

慶應受験生
慶應受験生
先生!塾でベン図を学んだんだけど、「便利な図」だからベン図って呼ぶわけじゃないらしいよ!

たくと
たくと
そうそう、だからカタカナで書くんだよね。

慶應受験生
慶應受験生
でもそれじゃあ、ベン図の「ベン」ってなんのことなの?塾の先生はそこまでは教えてくれなかったんだよね。

たくと
たくと
あ、そうなんだ!じゃあ今日は最初にベン図についてちょっとだけ説明しよっかね!ちょっと雑学っぽくなるけど!

その日の授業は、そんな感じで始まりました。

「便利な図」だから「ベン図」、なわけではない。

さて、ご存じの方がほとんどでしょうけど、念のためベン図とはどんなものかを確認しておきましょう。ベン図というのは、

集合が2つなら、こんな感じ(↓)。

集合が3つなら、こんな感じ(↓)。

どんな時に使うのかというと、よく出てくる例で言えば1~100の数字を対象としたときに「2の倍数の個数」であったり「3の倍数の個数」といったように、ある条件を満たすものの個数を図示するときに非常に役立つ図、それが「ベン図」です。

そんなとっても便利な図なのですが、冒頭の会話の中にもあったように「便利な図」だから「ベン図」、というわけではありません

では、この「ベン図」という名前の由来は何なんでしょうか?

ベン図の「ベン」は人の名前。

結論から言うと、ベン図の「ベン」は人の名前が由来です

ベン図が考案されたのは今から約150年前です。イギリスの論理学者であるジョン・ベンによって考案されました。

この考案者の名前を取って、「ベン図」になったわけです。

慶應受験生
慶應受験生
なるほどー!ベンって、人の名前だったんだ!

たくと
たくと
でもね、このベンっていう人、アルファベットで書くと「Ben」じゃなくて「Venn」なんだよね。

慶應受験生
慶應受験生
うんうん、それで?

たくと
たくと
だから、正確に発音すると、
「ベン図」じゃなくて「ヴェン図」(下唇を噛んで発音)なんだよ!

慶應受験生
慶應受験生
え!なんかめっちゃいけすかないね!

たくと
たくと
!!!(笑)
いけすかない」なんてどこで習ったの!

慶應受験生
慶應受験生
こないだお母さんがお父さんに言ってた!

たくと
たくと
えぇぇっ??!!

日本で初めてベン図の問題が出たのは、実はあの「有名校」。

そんなこんなのベン図ですが、ベン図を使う問題が日本で初めて出題されたのは、みなさんご存じのあの有名校なんです。

どの学校かを言う前に、その問題を少し見てみましょう。(問題文の文体は少しやわらかく変えています。)

【問題】
ある町でA,B,C三種類の新聞が発行されています。その町で、

・新聞Aを購読している人の割合は69%
・新聞Bを購読している人の割合は46%
・新聞Cだけを購読している人の割合は3%
・新聞B,Cの両方を購読している人の割合は21%
・新聞A,Cの少なく一方を購読している人の割合は88%
・新聞B,Cの少なく一方を購読している人の割合は50%
・新聞A,B,Cのうちどれか一種類だけを購読している人の割合は61%

このとき、

(1)新聞Aだけを購読している人の割合
(2)新聞Bだけを購読している人の割合
(3)新聞A,B,Cすべてを購読している人の割合
(4)新聞A,B,Cのどれも購読していない人の割合

はどのくらいでしょう?

情報量は少し多めですが、少しの思考力ベン図があれば、小6なら解けるレベルの問題です(小5でも思考力がだいぶ備わっていれば解けます。)

ちょっと一度、考えてみて下さい。(制限時間は15分ほど。)

慶應受験生
慶應受験生
できた!

たくと
たくと
おぉー!すごいね!全部あってるよ!難しかった?

慶應受験生
慶應受験生
やった!3個のベン図を書くのは普通だけど、7個の条件をベン図に書き込むのが難しくてちょっと悩みました。

たくと
たくと
それで色分けして書き込んでたんだね。すごくいい判断だと思うよ。

慶應受験生
慶應受験生
その後は謎解きみたいでした!

たくと
たくと
とってもいい感覚で解けてるね。けっこう頭使うけど、気づき始めるとスルスル解けていくよね。

慶應受験生
慶應受験生
はい!ホントにそんな感じでした。
それで、これってどこの問題なんですか?

たくと
たくと
これね、東大だよ!

慶應受験生
慶應受験生
えぇぇぇぇぇ!!!
東大ーーー???!

そう、この問題、だいぶ前ですが1965年に東京大学で出題された問題なんです。

といっても、「ベン図使えば解けるじゃん!」という簡単な問題ではありません。当時、まだ日本の教育でベン図というものを教えていませんでした。だから、多くの受験生はベン図のことを知らない状況で、この問題の情報量を処理しなくてはいけなかったわけです。

ただ、実は1965年の数年後に、高校の数学では「集合と論理」という現代的な数学がカリキュラムに組み込まれることが決まっていました。なので、「数年後に新たに組み込まれる内容」に興味を持って自分で調べていた受験生は、ベン図を自分で学んでいました。だから、上記の問題をベン図を使って解くことができたわけです。

東大は、このように「今与えられているものをこなせる力」ではなく、「今やらなくてもいいんだけど、興味を持って先に進む知的好奇心」を当時受験生に求めていたわけです。

約55年前に東大が数学の入試問題を通してこのメッセージを出して以降、東大以外の大学へ、高校へ、そして中学へとそのメッセージは年々波及していきました。このメッセージを早期に感じ取っていた中学は数校ありました。有名どころでいえば、それはであり、開成であり、慶應中等部普通部でした。

つまり、慶應付属3中学はかなり前から「知的好奇心」を試す問題が数多く出されているわけです

多くの塾では、「知的好奇心」よりも「これまで培ってきた指導カリキュラム」を重視する傾向が今なお強いので、「知的好奇心」を刺激し、高めていくという作業をいかにお子さんに用意できるか、というのが慶應付属3中学を目指すうえでは結構大きなファクターになります。

そういった点を、重視しながら進んでいきましょう。このブログでも、できるだけその作業ができるような記事を書いていけたらと思っています。よかったらまた足を運んでみて下さいね。

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というわけで、今回はこのあたりで。

これからも「慶應付属中合格者からの質問集」を追加していく予定ですので、もしご興味あるようでしたらブログのブックマークを、もしくは更新情報を投稿しているtwitterのフォローをよろしくお願いいたします。

ではでは、ご覧くださってありがとうございました。

また次回、お会いしましょう。