慶應付属3中学合格のための心得

「塾で学ぶ」だけで慶應付属3中学に行けたのは10年前までの話。

photo_「塾で学ぶ」だけで中学受験を乗り切れたのは10年前までの話。

前回の記事で、マネタイズの最大化を優先している塾のカリキュラム・指導方針で第1志望に合格できる確率は約15%しかいない、ということをお話ししました。しかもその15%は、子どもの努力というよりは幼少期の親御さんの接し方で大方決まる。

中学受験を目指す生徒さん・親御さんにとってはある意味酷な話に聞こえたかもしれません。(前回の記事はこちら↓)

でも、もしお子さんが幼少期のころに知性や知的好奇心を育み切れなかったのならもう中学受験をやめるべき、という話をしたいわけではありません。もしそういう状況であれば、塾頼みの姿勢では85%の方に自然と入っていってしまうので、抜本的に意識を変える・抜本的に方法論を変えるという選択を取らなければならないんです。

というわけで今回は、そのあたりについて書いていけたらと思います。よかったら、読んでみて下さいね。

塾の授業内容だけで合格できたのは10年前までの話。

これをご覧の塾や家庭教師の先生方は分かるかと思いますが、毎年10月~12月あたりになると主に大手塾に通っている小6受験生の親御さんから相談のご連絡を頻繁に頂くようになります。

僕も去年(2020年)の10月には、大手塾Sに小4から通って慶應中等部・普通部を目指している小6受験生のお母さんからこんな連絡を頂きました。

過去問を解いてみたんですが、全然取れないんです。間違えているところを見てみると、塾のテキストに載っていない内容ばかりなんです。だからこれまでの復習をしても意味がないように感じて。。。一体何をやればいいんでしょうか?

こういった質問はほんとうに毎年よく頂きます。そして、この答えを塾側から一向にもらえないから、僕らのところにご質問してくださってるのかと思います。こういった状態のとき、親御さんが困っているのと同様に、受験生本人がもっとも行き詰っています。「受験まで何をやったらいいんだろう?」。現状点数を取れていないし、これから何をすれば点数を取れるようになるかもわからない。途方に暮れてしまうわけです。

でも、上記のご相談の内容は、実は昨今の中学受験の状況を如実に物語っています

そう、タイトルにもあるように、中学受験で問われる内容・テーマは時代とともに多様化・複雑化・高度化しており、塾の授業内容だけで中学受験に合格できたのは10年前くらいまでなんです。もしかしたら、もっと前と言ってもいいかもしれません。(もちろん、すべての学校というわけではありません。進学校、もしくは進学校化を目指す中堅校以上の学校の話です。)

上記の小6受験生の男の子は、学習状況の詳細を見てみると模試の成績はかなりいいんです。でも過去問や慶應模試になると点数が取れないんです。このことが何を表しているか分かりますか?

それは、一般的な模試実際の入試問題には大きな乖離があるということです。どういう乖離かというと、一般的な模試は塾のカリキュラムを消化できれば点数を取れるように作られていますが、実際の入試問題はそうではないということです。特に近年の中学受験においてはその傾向は顕著です。

知的好奇心を持ち、それを日常で消化している子を中学側は求めている。

実はこの乖離は、受験を目指し始めた段階で過去問に目を通していればすぐに分かることなんです。慶應付属3中学に限らず、上位校の過去問を見てみると、オーソドックスな内容以外のテーマが数多く含まれていることがすぐに分かります。

でも、前回の記事で書いたように多くの塾では「不安の細分化」を図るために小6の9月まで過去問をやらないことを推奨しているため、受験直前期になってやっと気づく。でもそれだともう遅すぎるんです。なぜなら、中学校側が求めていることを3か月前後で補完することはほとんど無理だからです。

では、中学側が求めていることって一体何なのでしょうか?

それは非常にシンプルで、「普段の生活の中から学ぶ姿勢を持っているか?」。ただこれだけです。

「オーソドックスな内容以外のテーマが数多く含まれる」と書きましたが、慶應付属3中学をはじめとする上位校が扱うテーマは、小学生が日常生活の中で感じる疑問から派生しているものが非常に多いんです

「塾で学ぶ」から「日常から学ぶ」への切り替えが必要不可欠。

つまり、知的好奇心を持って日常生活を過ごし、その中で生まれてくるふとした疑問をしっかりと捉え、それを自分で消化することのできる子を中学側は求めているということです。

そういった日常の過ごし方をしている子は、「今日何時間勉強した」という感覚よりも「身の回りのことから今日もたくさん学べた」という感覚を得ることができていて、それを小学校の間に意識することなくずっとやっているので、6年間の集積はかなり大きいものになるんです。こういった生活の中での学びは、塾や参考書で学べることを最終的に凌駕していきます

もしそういった感覚を持つことなく今に至り、そのままの状態で中学受験に挑もうとしているのであれば、生徒さんと親御さんのどちらにも大幅な変革が必要不可欠になります。それをせずして、塾の内容をしっかりこなしたとしても、中堅校までしかたどり着くことは難しいでしょう。

受験生本人としては「塾で学んでいるから大丈夫」、親御さんとしては「塾に任せておけば大丈夫」。もしそういう感覚で進んでいくと、たいていの場合は直前期に詰まることになります。そして残りの期間を手をあぐねながら過ごさなくてはならなくなります。そうならないために、できるだけ早いタイミングで「塾で学ぶ」だけの状態から「日常から学ぶ」の比率を高めていくことが絶対的に不可欠になります

言い換えると「受験勉強」から「学問」への切り替えが必要不可欠。

「日常から学ぶ」というのは、言い換えると「受験勉強をする」から「学問する」への切り替えとも言えます。

学問というと最近では分野の細分化・専門化が進んできたため難しく感じかもしれませんが、元をたどれば「日常の疑問」を「自分の頭」で考えて結論への道筋へと進むのが学問です。

この力は実は大学受験では絶対的に不可欠な力です。だから、進学校やハイレベルな付属校ではその力の有無を中学受験のタイミングでチェックし、それが小学生の時からできる子を優先して入学させたいんです。そのため、入試問題もその傾向が年々強まっているんです。

慶應付属3中学を始めとする上位校・進学校を志望するのであれば、日ごろから学問をする習慣、すなわち日常から疑問を見つけ出してそれを自分の頭で考えたり、自分の頭で足りない場合は身近な大人に聞いてみたり、自分で本で調べてみたりする、そういった習慣を早いタイミングで身に着けて、「受験勉強」にとどまっている周りからひとつ抜け出すことが必要です。

では、具体的に何をすべきなのか?

以上の点を踏まえたうえで、では具体的には何をすべきなのか?

それは少し長くなりそうなのと各方法論を詳しく書いていきたいので、おそらく次々回の記事から書いていきたいと思います。(次回はちょっと別の内容になる予定です。)

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ではでは、今回はこのあたりで。読んでくださってありがとうございました。