慶應付属3中学への方法論(科目別編)

【慶應普通部への社会#1】
過去問分析 – 2021年度大問1「数値感覚」を問う問題

たくと
たくと
みなさんこんにちは!

このブログは、慶應付属中専門の塾講師・家庭教師をしているたくと( @tact_roadtokeio ) がお送りしております。

さてさて、今回は慶應普通部の社会の過去問を分析しながら、慶應普通部で求められているものについて見ていきましょう!

今回は慶應普通部の2021年度社会、大問1です。

過去問分析 – 2021年度大問1「数値感覚」を問う問題

慶應普通部の2021年度社会の大問1は、数値感覚」の有無を問う問題が出題されました。

(1)は簡略化すると以下のような問題でした。(これから過去問をする方も多いと思うので、数値を概数に変えています。)

【大問1 (1)】
日本における実際の数字とかけ離れているものを2つ選びなさい。

ア. 銀行の普通預金で1年間の利子の割合:10%
イ. 全人口のうち65歳以上の高齢者の割合:30%
ウ. 国内食料のうち国産が占める割合:40%
エ. 全家庭のうちスマホを所有する家庭の割合:60%
オ. 18歳で大学に進学する人の割合:60%
カ. 電力供給量において火力発電が占める割合:80%

(2)も同様に簡略すると以下のような問題でした。

【大問1 (2)】
A,Bのア,イ,ウを数字の大きい順に並べ替えなさい。

A
ア. 衆議院議員のうち女性が占める割合
イ. 小学校の校長のうち女性が占める割合
ウ. 都道府県知事のうち女性が占める割合

B
ア. 全人口のうち外国人が占める割合
イ. 日本に入国した外国人のうち、韓国・中国から入国した人の割合
ウ. 日本から出国した日本人のうち、韓国・中国に出国した人の割合

みなさん、スムーズに答えられそうですか?

「東京から札幌の距離は10000km?!」 – 数値感覚を問う問題が出題される背景。

こういった数値感覚を問う問題は、難関校ではかなり頻繁に出題されています

では、なぜこういった数値感覚を問う問題が頻繁に出題されるのでしょう?

実はこれ、日本教育における歴史的な背景があるんです。

それは今から約25年ほど前の1997年の学会誌(物理学会)で発表された、東大に入学した新入生に対する抜き打ちテストの結果が発端になっています。

その抜き打ちテストでは、大学生なら簡単に推定できるであろう数値を問う内容が出題されました。具体的にはこんな感じ(↓)です。

・東京-札幌間の直線距離は何km?
・1円硬貨の直径は何cm?
・地球1周の距離は何km?
・1枚の紙の厚さは何μm?
・空気中の酸素の割合は何%?
・水素原子の直径は何μm?
・標準大気圧は何hPa?

後半は少し難しく感じる方も多いかもしれませんが、前半は小学生でも答えることができそうな内容ですよね。

ですが、東大入学生の回答を見てみると数値感覚が明らかにおかしいものがけっこう入っていたんです。

たとえば、

・東京-札幌間の直線距離(831km)→「10000km以上」「100km以下」といった回答

・1円硬貨の直径(2cm)→「0.1cm」「5cm」といった回答

・1枚の紙の厚さ(80μm)→「1mm」といった回答

こんなふうに、明らかに数値感覚がおかしい回答が想定以上に多かった。

かなり勉強を積み重ねてきたはずなのに数値感覚が破綻している人が多く生まれていることが露呈した。東大に入れるほど勉強してきた人でこの状態なのだから、東大生以外にもテスト対象を広げたらこの結果はもっと深刻なものになっているのでは?

そんなふうに、当時の教育業界(特に高等教育)では、日本の教育はこれでいいのか?」という疑念がかなり広がったんです

こういった背景もあり、中学受験においても数値感覚を問う問題が頻繁に出題されるようになりました。特に難関校でですね。

(このあたりの話は、立花隆さんの著書「東大生はバカになったか 知的亡国論+現代教養論 (文春文庫)」に詳しく書いてあります。ご興味ある方や教育関係者の方はぜひ一読することをオススメします。)

どうやって数値感覚を養うか?

そんなわけで、慶應普通部をはじめとする難関校を目指すのであれば、「いかに数値感覚を養うか?」ということも非常に重要な要因になります。

ではどうすればいいのか?

上述の大問1を見て分かるように、塾や参考書に載っていない数値も問われていることに着目する必要があるでしょう。つまり、塾テキストや参考書では物足りないわけです。

なので、対策としては一択。「新聞を読むこと」です

新聞には、今を生きる現代人にとってタイムリーに必要な数値、しかもしっかりとした裏付けのとれた数値がかなりたくさん載っています。そういった数値の集合体が新聞と言っても過言ではないわけです。(新聞以外でこれほど多様な情報が載っているものは身近にあまりないですよね。)

なので、難関校を目指す子にとって、新聞は必須と言えます。

僕が教えている生徒さんの場合、小5までは「読売KODOMO新聞 を読み、活用することをほぼマストにしています。

そして小6からは「 日本経済新聞にステップアップするようにしています。

慶應普通部をはじめとする難関校を目指している方で、実はまだ新聞を活用できていない方はできるだけ早く新聞に着手するようにしましょう。

読売KODOMO新聞週1(木曜のみ)発行で月550円なので、導入にかなりオススメです。ぜひ活用ていきましょう。

このブログでも今後、読売KODOMO新聞日本経済新聞の具体的な活用方法も書いていく予定なので、それもぜひ参考にしてくださいね。

ちなみに解答は。

ちなみに最初の問題の解答は、

(1)は、アとエです。

(2)は、Aはイ>ア>ウ、Bはイ>ウ>ア

です。具体的な数値は、自分で調べてみましょう!

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ではでは、今回はこのあたりで。

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ではでは、ご覧くださってありがとうございました。

また次回、お会いしましょう。