慶應付属3中学合格のための心得

問題だらけの中学受験。(このブログと執筆者について。)

このブログについて。

1-1. 慶應中等部・普通部・SFCを目指す方向けです。

はじめまして。
ブログ「Road to Keio | 慶應付属3中学への歩み方」へようこそ。

このブログは、

  • 慶應義塾中等部
  • 慶應義塾普通部
  • 慶應義塾湘南藤沢中等部(SFC)

の3校、いわゆる「慶應付属3中学」を目指す中学受験生、その親御さん、そしてその指導をする塾講師・家庭教師の方向けの情報を発信しているブログです。

1-2. ブログを始めた理由。 – 第1志望合格は約15%という現実。

詳しいプロフィールはこのページの最後に書いていますが、僕は大学時代から塾講師・家庭教師としての活動をはじめ、さまざまな形態の塾で指導してきました。みなさんがご存じの大手塾でも指導してきましたし、逆にそこまで知名度のない個別指導塾でも指導してきました。指導歴としては、大学時代も含めると今年で19年目になります。

非常に多くの生徒さんを指導してきました。そしてそれと同時に塾のカリキュラム作成や教材作成にも多く携わってきました。

その中で気づいたのは、どの塾においても第1志望の合格率はほどんど共通していて、そのパーセンテージは約15%ということです。逆にいうと、約85%の生徒さんは第1志望の学校にはいけないということです。

塾に通うすべての親御さんは、かなりの資金と時間と労力を投入しているのに、第1志望合格率がたったの15%なんです。低すぎると思いませんか?この原因は一体何なんなんでしょうか?

1-3. 多くの塾ではマネタイズの最大化が優先されている。

その原因を自分なりに分析してきました。

そしてたどり着いたのは、多くの塾のカリキュラムや指導方針は、生徒さんの第1志望合格率を高めるためではなく、マネタイズの最大化を優先して作られている、というところに原因があるということです。

塾を運営するのは株式会社と、一部の個人事業主がほとんどです。だから、利益の最大化を目指すことは当然のことですし、それ自体は全く問題のないことです。問題なのは、利益の最大化生徒さんの合格率の最大化の両立が難しい点にあります

中学受験を目指す受験生と親御さんの目標はただ一つです。それは志望している中学校に合格すること。その合格のために、ご家庭だけで勉強するのは不安だから塾に通うわけです。

この不安を取り除くために塾があります。そしてその不安を取り除くことで収益が生まれます。ここまでは双方にメリットがあるので問題のないことでしょう。

でも問題となるのは、「不安→解消」のサイクルがたくさん回れば回るほど、塾が潤うという点です。ご家庭としては「不安→解消」の数が少なければ少ないほど嬉しいのに、塾としては「不安→解消」の数が多ければ多いほど利益が上がる

だから、多くの塾のカリキュラム・指導方針は「不安」を定期的に生むような構成を取っています。そしてそれを「解消」するためのコンテンツを素早く提供するという仕組みもセットになっています。ある意味、不安の細分化を図ることで、利益の最大化しているんです

中途半端な思いで中学受験を目指す親御さんは少ないので、その細分化されたコンテンツにどんどんお金を払います。そして、この細分化されたカリキュラムは階段を上っていくような構成に見えるため、途中で辞めるということは受験をやめることのように感じます。だから、受験が終わるまで塾にお金を払い続けるケースが大半です。

でも、この構造のツケを最も払わされるのは、中学受験生のお子さんなんです

なぜなら、そのカリキュラムでは模試の得点はある程度取れるようになりますが、中学側が求めている力を育むことができず受験本番では失敗しやすいからです。

またそれだけでなく、カリキュラムをこなす過程で自分に対する劣等感親・教師に対する不信感を積み上げていってしまうんです。これによって、自己肯定感を育む成長を遂げることが難しくなり、さらに親との関係性も悪くなるというツケを払うことになるんです。

1-4. 塾のカリキュラムでは「ボーダーぎりぎり」に行くのが限界。

なぜそんなことになるのかを、不安の細分化によってできあがった塾のカリキュラムを見ながら考えていきましょう。

まず、入塾のタイミングでは「基本事項を抑えられていない」という不安要素をまず提示され、基本事項をしっかりとやる重要性を伝えられます。だから、小6の夏休み前(塾によってはもう少し早い)までは基本事項を網羅する内容がメインになっています。

夏休み前になると、「基本事項にまだまだ穴がある」という不安要素を提示されます。なので夏期講習を通して基本事項の総復習をしましょう、夏休み中にそれが終わらないと志望校を下げなければいけません、と告げられます。そして夏期講習に多くのお金と時間を費やすことになります。

(ちなみに、夏休みが終わるまでは「過去問は絶対にやらないように。」なんていう塾も非常に多いです。でも、これってかなりおかしいと思いませんか?自分が目指すべきレベルを早い段階で把握させないのは、実はかなり危険です。もし過去問に触れないように、という方針を告げられたら懐疑的になるべきです。)

そして夏休みが明けて9月になると、「基本的な内容は夏期講習のおかげでだいぶ埋まってきています。でも、応用力が圧倒的に不足しています。」という不安要素を告げられ、応用力を補う講義が展開されていきます。同時に、「志望している学校は問題に特徴があります。応用力講座だけだと学校ごとの特色への対策が不十分になってしまいます。」という不安要素を告げられ、学校別講座の受講もほぼ必須になります。こうなると、週6~7日通うのはあたりまえになり、費用も膨大になってきます。復習時間が取れなくなり、消化不良感はここからどんどんと増していきます。

さらに10月あたりになると、次は「時事的な内容が不足していますね。新聞とか読めてませんよね?」という不安要素を告げられます。塾によっては時事的な講座の受講も増えたりします。

そして直前期。「かなり頑張ってきています。でもここまでの努力がまだ結果としては完全に表れていないですね。最終的な総仕上げが必要です。」と告げられ、追加でかなりの講座を受講することになります。直前講座、学校別講座、年末特訓、お正月特訓、ファイナルチェック、分野別総復習などなど。年末年始の休みなどはなく、毎日の塾通いが普通になります。

こんなふうに、何層もの段階が設定されており、それに沿って進むのが業界全体として当たり前のようになっています。そしてそれをご家庭側も当たり前のように感じざるを得ない状況になっています。だから、どの塾においても第1志望合格率にあまり差がなく、約15%という低水準で固定化されているんです。

そして先述の通り、このやり方ではお子さんがもっともツケを払わせられるんです。

段階が多層化しているということは、一つクリアしたとしてもすぐに次の課題をぶつけられるということです。そしてそのたび、この子はまだまだ足りていない、という塾側からのメッセージを浴びることになります。同時に、ご家庭によっては親御さんから「もっと頑張らないとね」というプレッシャーをかけられてしまうことも多々あります。

こんなふうに、本来であればクリアしたことを褒められるべきタイミングで、逆にダメ出しをされていくんです。これを何回も繰り返す過程で、子供の中には劣等感が徐々に育まれていきます。受験勉強をスタートしたばかりの初期段階ではそれをなんとか気合いで乗り越えていけますが、それも長くは続きません。そのまま進み続けることはかなり難しくなっていきます。なので、感情的にドロップアウトしやすいんです。

また、塾や親御さんから受けるある種の理不尽さを感じることで、「応援してくれる人がいない」という感覚も少しずつ芽生えていきます。受験期に親子のケンカが増えるのはそのためです。塾側は、お金を払ってくれる親側の意見を尊重することが多いため、親御さんや塾に対する不信感は子どもの中でより強まっていきます。そういった状況になると、夏休み以降の頑張りがきかない状況が生まれやすくなるんです。

さらには、もし上記のような点をクリアできたとしても、多層化されたカリキュラムは実はかなり効率が悪いため、最後まで頑張れたとしても合格最低点をギリギリ取れるかどうかの「ボーダーライン」までしかいけないケースが圧倒的に多いんですこの傾向は、慶應付属3中学をはじめとする上位校では特に高くなります

自分の子供のために、かなり塾選びに頭を悩ませ、そしていざ通わせてかなりの時間とお金と労力を費やして取り組んでいるのに、劣等感を募らせたり、理不尽さを日々感じるようになったり、それをクリアしても「ボーダー上の戦い」に行けるのがせいぜいのカリキュラムしか用意されていない。

こんな状況に気づいたとしても、教育業界全体で同様のカリキュラムが組まれているため、転塾しても家庭教師に切り替えても好転が難しい。そんな問題点を内在させたまま、中学受験業界は長年変わらずに今に至っているんです

1-5. それでも塾が存在しうる理由。

でも、なぜそんな状況で塾が存在しうるんでしょうか?

それは、第1志望に合格する15%の生徒がいるからです。この生徒たちが第1志望以外の併願校の合格も勝ち取り、合格実績を積み上げてくれるんです。

(また、上手に第1志望を諦めさせて、第2志望・第3志望の学校を第1志望化させる仕組みがしっかりとできあがっていることも、要因の一つでしょう。)

では、この「15%の生徒」とはどんな子なんでしょうか?これをお読みの親御さんのお子さん(もしくはこれをお読みの先生が指導している生徒さん)は、この「15%の生徒」に入るのでしょうか?

「15%の生徒」と「85%の生徒」の違いは、お子さんが幼少期のころに親御さんによってどうやって育てられたのかでほとんど決まります。

東大卒の親の子は、高学歴になりやすい。」ということを聞いたことありませんか?テレビやニュースなどでもよく言われているので、ご存じの方も多いかと思います。これは東大卒の親は年収が高いため子供にかけられる教育費も多いから子供も高学歴になりやすい、と結論付けられることが多いですが、実はそうではありません。(もちろんそういった要素は多少あります。)

実は、東大卒といった高学歴の親、いいかえると学生時代にしっかり勉学に時間を割いてきた親と、そうではない親とでは、親子の会話の質が根本的に違うんです。

子どもは小さい頃、毎日かなり多くの疑問を感じ、それを親に対してぶつけます。例えば、「虹ってなんで7色なの?」「宇宙ってどのくらい広いの?」などなど。(子どもが分かるように説明できますか?)

こういった子供の疑問に対して、しっかりと答えられる親御さんは実はかなり少ないんです。知識としてしっかり答えてあげることができる、もしくは自分で調べさせたり考えさせなければならない場合は徒に答えを教えずに調べさせる・考えさせる、といったことまで判断できる、そういったことができる親御さんの比率が約15%ということなんです。

つまり、15%と85%の違いは、幼少期に親御さんからどういったコミュニケーションを取ってもらったのかが大きく影響します。小学校の真ん中くらいまでにお子さんのベースとなる知性や知的好奇心が大方決まるので、そこまでの親御さんのコミュニケーションによって大方決まってしまいます。

その過程でしっかりと知性と知的好奇心を育むことができていたら、上記のような問題だらけの塾のカリキュラムでも大きく成長することができます。でも、そうでない場合はカリキュラムに踊らされ、マイナスの側面が強化されていきます。

これをお読みの親御さんのお子さんは、15%の方に入れていそうですか?

1-6. そんな問題点を解決するための内容を書いていくブログです。

僕は塾講師・家庭教師を長くやってきて、85%の方のお子さんにたくさん出会ってきました。そして、そういった子を15%側に入らせるためには、塾のカリキュラムの中では難しいとかなり感じてきました。

なので、数年前に大手塾を離れ、個人で塾・家庭教師をはじめ、一般的な塾のカリキュラムとは異なったカリキュラム・指導方針を自作でつくって指導することを始めました。すると、自分でも驚くほど、第1志望合格率が飛躍的に上がりました。(これは自分がすごいということではなく、こういった多くの塾のカリキュラムの問題点に気づき対策をしている先生方全般に当てはまることかと思います。)

なので、そういった経験を通して得られたものをこのブログで書いていけたらなって思っています。もし上に書いたような塾業界が抱える問題点を同様に感じている・もしくはこれから感じそうな親御さんはぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

ブログの更新情報はtwitterに書いていく予定なので、よかったらフォローしてくださいね、また、必要あればブログのブックマークもよろしくお願いいたします。

というわけで、マイペースに綴っていきますので、よろしくお願いいたしますね。

執筆者について。

このブログは、慶應付属中受験を専門に塾講師・家庭教師をしているたくと(@tact_roadtokeio)が執筆しています。

千葉県船橋市出身。東京大学大学院工学系研究科(修士課程)卒。

大学時代から塾講師・家庭教師をスタートして、大手の集団塾から無名の個別指導塾までさまざまな形態の塾での指導を経験してきました。指導だけでなく、教材作成や年間カリキュラムの作成なども行っています。

最終的には1:1の指導スタイルがもっとも生徒さんの力を伸ばしたり必要な修正をできるという結論に達し、そのスタイルのみの指導にしぼっています。また、5年ほど前から、慶應付属3中学専門の塾・家庭教師として活動しています。(東大・国公立医学部を目指す中学生・高校生の家庭教師も併行して行っています。)

ここ5年間の慶應付属3中学合格実績は、71.4%(7人中5人)~85.7%(7人中6人)の間を推移しています。

また、私立中高一貫校の先生に対して指導方法の指導を年に数回行っています。

その他必要なプロフィールは随時書き足していきますね。

ではでは、どなたさまもよろしくお願いいたします。